
制御不能じゃ。
弱小家電メーカー「木村電器」のエンジニア3人は、ロボット博の企業広告を目的とした二足歩行ロボットの開発を社長から命じられていた。しかし発表1週間前に開発中のロボット「ニュー潮風」は大破してしまう。途方に暮れた3人はロボットの中の人を募集し、その人に「ニュー潮風」を演じてもらい窮地を凌ごうと考えた。架空のオーディションで選ばれたのは73歳の鈴木老人。しかし彼がまた一癖ある人物。ロボット博での勝手な行動に大変な事態を招くことになる。
言わずと知れた矢口史靖監督の最新作。凸凹トリオの3人組が一つの嘘から波紋を広げるコメディ作品。一番の見どころは嘘の結末。やはりニュー潮風を救うのは鈴木老人だった。
面白かった。映画館で笑いが起きる。時間を苦にすることもなく笑いながらの終演。最後の鈴木老人の笑顔は最高です。同時に高齢化社会の背景。現実を見よという問題点。
笑いの共有は心地がいい。スクリーンの需要。皆で楽しむことができる作品がもっと増えれば、足を運ぶ人も同じく増えるかもしれない。皆で笑うのは楽しいです。

なぜ、戦うのか。
就職活動中の大学生・玄野計(二宮和也)は、地下鉄のホームで幼馴染の加藤勝(松山ケンイチ)を見かける。正義感の強い加藤は、線路上に転落した酔っ払いを助けようとするが、手を貸した玄野と共に進入してきた電車に轢かれてしまう。次の瞬間、二人は見慣れぬマンションの一室にいた。そこには同じように死んだはずの人々が集められ、リビングの中央にはGANTZ<ガンツ>と呼ばれる謎の大きな黒い球が異様な存在感を誇っていた。出ることの許されないその部屋で、GANTZ<ガンツ>は死んだはずの人々に生き残るためのミッションを与える。それは“星人と戦い、そして殺すこと”だった。戦いの場へと転送された彼らは、何者かも分からぬ異形の星人と対峙する。やがて戦いを終え部屋に戻るとGANTZ<ガンツ>による採点が行われる。星人を倒し得点を重ね、“100てん”になるとこの世界から解放されるか、好きな人を生き返らせることができると知らされ、元の世界に一時的に戻される。だが、“100てん”を取るまで戦いは終わらない。玄野は戦いに目覚め、生き抜くことを選択するが、加藤は暴力に支配された世界を嫌悪し、戦いを否定する。生と死を実感しながら、その不条理な世界での戦いは苛烈を極めていく。
テンポの良いアクションシーンが少ないためのたるみがある。それにより時間が長く感じられる。私は原作を読んでいないが中途半端という印象。しかし謎は多く残っているし、2部構成なのでそれを期待する。原作を忠実に再現するならR指定であろう作品なだけにこれが限界だろう。私は主演の2人が個人的に好きなので、あのガンツスーツには萌えました(笑)

春が二階から落ちて来た。
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは。
原作は伊坂幸太郎氏の70万部を超える同名の大ベストセラー小説。非暴力主義は本当に世界に平和をもたらすことが出来るのか。
全ての役者に存在感がある。見ごたえがあり丁寧に作られている作品。焦点が少しずつ動いていくのが自然で心地良いと感じる。ただ最後のサーカスのシーン。セリフが浮いていたように思う。しかし相変わらず加瀬亮はいい。あの独特の空気感を出せるのは素晴らしいと思う。

ようこそクイズミリオネアへ。
インドのスラム街に生まれ育ったジャマール(デーヴ・パテル)は、人気番組「クイズ$ミリオネア」に出演していた。司会者であるプレーム(アニル・カプール)の挑発にも反応しないで、難解な問題の数々に冷静な対応するジャーマルは、とうとう最後の1問というところにまでたどりついた。正解すれば、賞金は2000万ルピー。18歳のジャーマルにとって、一生かかっても手にできない大金である。 危機を感じたプレームは、1日目の収録が終わったところで警察に通報してジャマールを拘束させた。拷問を受けるジャマールは、これまで過ごしてきた人生を告白する。彼と兄のサリームは、幼い頃に母を亡くして孤児となった。そんな二人が出逢ったのは、孤児の少女ラティカだった。彼らは自分たちを「三銃士」に見立てて、過酷な現実を生き抜いていく。しかし、孤児たちを搾取する大人たちのもとから逃げ出す途中で、兄弟とラティカは生き別れとなってしまった。ジャマールとサリームは、金を盗んだり観光ガイドのフリをして生き延びていくが、やがてサリームは悪の道を歩みはじめる。そんな兄とは対照的な生き方をするジャマールの心の支えはラティカだった。彼女と再会したい彼は、「クイズ$ミリオネア」への出演を決意したのだ。そんなジャマールの身の上話を聞いて同情した警部は、彼を釈放した。「ファイナル・アンサー」を答えるため、テレビ局のスタジオへと戻るジャマール。同じ頃、組織に監禁されていたラティカを救うため、サリームは自分の命を犠牲にしていた。最後の問題で、ジャマールは電話を使う「ライフライン」を使う。電話に出た相手は、なんとラティカだった。まるで運命のように、二人は再会を果たしたのだ。難問にも正解して、2000万ルピーを獲得するジャマール。彼の苦難に満ちたこれまでの人生は、ようやく報われた。
圧倒的インドを感じる作品。映像、音楽、演技、疾走感、エネルギー、リズム、パワー、どれもが素晴らしい。広大なスラム街。タージマハールの夕焼け。ムンバイの洗濯場の景色。女性の横顔。全てが美しい。
しかしこの映画は「インドが初めてハリウッド映画で描かれた」とも言われている。それはインドを社会的に捉えたとは言いがたい映画になってしまっていたからではないだろうか。インドの真実をこの映画で知ったような気になるのは間違いであるべきだ。アメリカ的終末は明らかである。全てが素晴らしいだけに本質から逃げているのが残念。

こんな国に、だれがした。
かつて徹底した合理主義で幾多の企業を買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとっていた鷲津政彦(大森南朋)。相変わらず閉鎖的で不透明な日本のマーケットに絶望し、海外生活を送る鷲津の元へ、盟友・芝野(柴田恭兵)が訪れる。芝野は、日本有数の大手自動車会社に対する、豊富な資金力を持つ中国系巨大ファンドの買収を察知し、鷲津にこの危機を救ってほしいと頼みに来たのだ。この巨大ファンドの命を受けたのは、“赤いハゲタカ”劉(玉山鉄二)。かつてニューヨークで鷲津のもとで働いていた男だった。大手自動車会社に買収を仕掛け、鷲津に真っ向から戦いを挑む――。“日本買収”ビジネスをめぐる二人の男の野望と挫折を描いた傑作TVドラマが映画化。史上最大のマネー戦争がいま、始まる。
当初はもっと早く公開される予定が、昨年のアメリカのサブプライムローンショックなどにより、ドラマの背景となった経済状況が劇的に変化したことを受け、撮り直し。
映画化するほど内容は濃くない。誰が見ても解りやすいよう作られている。ドラマファンは物足りない印象を受けるだろう。内容も上手い様小振りに纏まる。鷲津政彦、劉一華の戦いにも深みは感じられない。期待が非常に大きいだけに残念な作品に終わる。だが愛国心を最後まで訴え続けたこの作品は、今の日本に最も必要なのかもしれない。
もう新しい鷲津政彦に会えないのが悲しい。

迷い犬探しています。
ビバリーヒルズでセレブ犬として暮らすチワワのクロエ。クロエの世話を託されたレイチェル(パイパー・ペラーボ)は、クロエを連れてメキシコ旅行へと向かう。しかし、クロエは犬の窃盗団に誘拐されて闘犬場へ。どうにか逃げ出したクロエだったが、見知らぬ土地でノラ犬としての生活を送るハメになってしまう。
クロエの冒険。逃げれば逃げるほどセレブを落としていく話。口元の不自然さはすぐに慣れるが、全体のCGには違和感を覚える。ただ犬はやっぱり可愛い。

ある日、わたしたちは、ひとりじゃなかった。
このドラマはある男女とその家族を中心に描かれる。とある日の夕方、駅のホームに立っている中年男。たまたまその場に居合わせた男と女は、その中年男が列車に飛び込もうとしていると感じ、とっさに突き飛ばす。しかし、中年男は死ぬつもりなどまったくなかったと言い、二人を強く非難する。ここからドラマはスタートする。二人が、中年男が死のうとしていると感じたのには訳があった。男と女には互いに人には言えない心の傷がある。それでも二人の距離は少しずつ近づいていく。
■12年ぶり「時代から外れるのが作家」
脚本家の山田太一さんが12年ぶりに手がけた連続ドラマ「ありふれた奇跡」(フジテレビ系、木曜後10・0)が8日、スタートする。「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など多くの名作を残してきた山田さんだが、今回の作品について、「僕にとって最後の1本となる連ドラだと思う」と話す。(松本明子)
記事本文の続き 「時代の流れが僕の書き方と合わないのかな、と。作家がどの時代にも適応していくということはみっともないことで、時代から外れるのが作家。ただ、テレビドラマに絶望はしていない。まだまだ新しいメディア、希望があるとは思っています。単発ものは書いていきたい」
12年という長いブランクの理由について、山田さんは淡々と話した。
「ありふれた奇跡」は、心の傷を抱える2人の男女(仲間由紀恵、加瀬亮)がある“事件”をきっかけに知り合い、交流を深めていく姿を描く。これまでも器用に生きることができない人々を数多く書いてきたが、今回は「マイナスを背負った男女の話ですが、最後は希望で終わる」。新しい試みとして「キャラクターをくっきりさせないように、リアリティーのなさ」を強調しているという。
主演の仲間については「華」、テレビドラマ初出演となる加瀬については「いまの社会に適応できない、できなさそうな部分を持っている人かな」と分析する。
現在、74歳。貧しかった戦中戦後を過ごしてきた。「今は奇跡のような時代なのに、どうして自殺者が年間3万人も出るんだろう」と素朴に感じる。そうした疑問が作品につながった。
前クールの連ドラ「風のガーデン」の倉本聰さん、亡くなった向田邦子さんらと並び戦後のテレビ界を代表する脚本家の一人である。ここ10年の間にも単発作品「星ひとつの夜」(フジ)「本当と嘘とテキーラ」(テレビ東京)などの佳作を残している。
「63歳のとき、10年後は死んでいると思ったけど、生きている(笑)。僕は携帯のメールなどはまったくやらないのですが、テクノロジーというものは倫理がなく、歯止めが利かない。いつか人間が壊れてしまうときがくるのではないかと思ってしまう。年寄りの愚痴かもしれませんが。時代とともに風俗は変わっていくが、人はそうは変わらないでしょう。そこを信じないと書けないし、せりふも出てこない」
「ありふれた奇跡」は、そんな思いを胸に臨んだ作品である。
時流の逆をいく脚本と演出が非常に心地良く流れる。ストーリーはいたって単純だが、印象に残る数々の言葉により深みを生み出している。そしてそれを語る人物達も素晴らしい。久しぶりに響きを受けた作品である。終わってしまったのが非常に寂しい。

銭ずら。
長野県松本市で生まれ育った蒲郡風太郎は、左目に生まれつき醜い傷が有った。父親は最低のろくでなし、母親は気だては良いが病弱。それゆえ家庭は極貧で、ときには5円の金も無いほどであった。貧しいながらも懸命に生きてきた風太郎にとって、心の支えとなっていたのは、母親と風太郎に優しく接する近所の青年であった。しかし、治療費が払えない母は病死、自暴自棄になった風太郎は盗みに走り、それを咎めた青年を手にかけてしまう。それを機に、風太郎は生まれ故郷を飛び出し、成長して大企業の社長一家に取り入って、陰で金銭の為に殺人を繰り返すことになる。遂には、社長一家を死に追い込み、企業の乗っ取りに成功し、政界進出も果たす。しかし、栄耀栄華を極めた風太郎は、誰もが予期せぬ末路を辿ることになる。
死ぬ間際の妄想。とても深く悲しい。風太郎は残虐な殺人者である。許されるということなど決してない犯罪者である。だからこそ、「でも」、「だとしても」、という言葉に、道徳的な間違いを感じる。しかしそれでも、彼が爆死したとき、実に「無念」。そんな言葉が、私に浮かんだ。
本当はそうだ。本当はこうだ。本当はここにいた。本当はそこに居るはずだった。現実は妄想となり、妄想は現実となる。俺はここにいた。ここにいるんだ。本当は、ここにいるはずなんだ。
最後に風太郎が語る。どこかに俺のような奴はいる。間違ってはいなかった。しかしそれは巻き戻しにより語られた。そこで何を意味するのか。弱かった自分を、プライドで打ち消したのか。
ドラマの限界を感じたが、それを残念に思うということは、とても満足しているともとれる。風太郎のおかげで幸せになった人間もいる。それを忘れてはいけない。今の時代、贅沢病現代人の胸を叩く物語だと信じたい。自分も含め。感動しました。

かくさしゃかいにまけないよ。
名古屋の人気者が、全国のアイドルに!動画投稿サイトなどで 謎の大ブレイク中。人気暴走中の中日ドラゴンズのマスコットキャラクター、ドアラ。キモかわいいからクセになっちゃった人、野球はあまり知らないのに、ハマってしまった人が増殖中。そんなドアラが、本を書きました!
本書では、ドアラがじぶんの思いをすなおにペンにぶつけています。恋、悩み、体型、まゆ毛、食事、冬の生活、この国の行く末、海の向こうへの思い。そして、ドアラが大人の人生相談を受けたり、絵を描いたり、電車に乗ったり、特訓したりと大活躍。ドアラの知られざる「ひみつ」が次々と明らかになります。
また、ドアラのなかよし、森野将彦選手も「ドアラに言っておきたいことがある」と登場!自称日本一のドアラマニアの石黒哲男・中日球団広報による心温まるメッセージ、チアドラゴンズによるドアラの「欠席裁判」も掲載。全国ドアラ党ならびにドアラチーム、待望の一冊。
いや私は名古屋人です。笑。文句なしに可愛い存在ですので。笑。

「終わり」が始まる。
日本が高度成長期のまっただ中の1970年代。夢と希望に満ちあふれた時代。少年たちが空想した世界。地球滅亡をもくろむ悪の組織、東京を破壊し尽くす巨大ロボット。世界は混沌とし、滅亡に向かっていく。それに立ち向かい地球を救う、勧善懲悪の正義のヒーローとその仲間たち。こんな下らないストーリーを“よげんの書”と、少年たちは名付けた。大人になるにつれ、そんな空想の記憶は薄れていく。
しかし、1997年、コンビニエンスストアを営む主人公のケンヂは、お得意先一家の失踪や幼なじみの死をきっかけに、その記憶を次第に呼び覚まされていく。そして、世界各地の異変が、昔幼い頃空想した“よげんの書”通りに起こっていることに気づく。出来事に必ず絡んでくる謎の男“ともだち”との出会いによって、全ての歯車は回り出す。
役名 キャスト
ケンヂ 唐沢寿明
オッチョ 豊川悦司
ユキジ 常盤貴子
ヨシツネ 香川照之
マルオ 石塚英彦
モンちゃん 宇梶剛士
ケロヨン 宮迫博之
ドンキー 生瀬勝久
ヤマネ 小日向文世
フクベエ 佐々木蔵之介
田村マサオ ARATA
敷島ミカ 片瀬那奈
アルバイトの店員・エリカ 池脇千鶴
漫画家・角田 森山未來
コンビニの本部教育員 徳井優
市原節子 竹内都子
木戸美津子 洞口依子
血まみれの男 遠藤憲一
ヤマさん 光石研
ヤン坊・マー坊 佐野史郎
オリコー商会の社長 ベンガル
遠藤チヨ 石井トミコ
チョーさん 竜雷太
万丈目胤舟 石橋蓮司
神様 中村嘉葎雄
キリコ 黒木瞳
役名未発表
藤井隆、山田花子、鈴木崇大(タカアンドトシ)、三浦敏和(同)、中田敦彦(オリエンタルラジオ)、藤森慎吾(同)、藤井フミヤ、竹中直人、石橋保、布川敏和、入江雅人
日本映画としては初の3部作構成で、3作の総製作費が60億円という破格のスケールで贈る、この初秋、必見の映画が『20世紀少年』だ。原作は『YAWARA!』『MONSTER』などのヒットコミックを次々と生み出している浦沢直樹。監督は『TRICK』『明日の記憶』などのヒットメイカー堤幸彦。
映画化は難しいのではないかと原作。しかし実に忠実に再現されている。出演者のチョイスも非常に正しく、完全コピーで挑んだ監督は大正解。というところ。