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2006.01.18 Wed東京奇譚集 [村上 春樹]

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あなたの近くで起こっているかもしれない物語。

奇譚(きたん)とは、不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語。話題の四作品に、書き下ろし「品川猿」を加えた最新作品。

ここでは印象に残る「品川猿」について話そうと思う。出だしからとてもよかった。名前を忘れてしまう主人公。その糸口を探そうとしている不思議な区役所の相談係。2人の会話。主人公の過去。流れ。テンポ。なんの疑いもなしに集中させられた。途中、何かの謎を解くものかと期待していただけに、裏切られた気持ちになってしまったのは事実だが、ああこれが村上春樹なんだと納得し、最後まで読み進めることができた。しかし私としたらアフターダークを好むばかりに、少し寂しさが残る結果に終わってしまった。確かにいいものはいいが、この気持ちはなんだろう。よくわからないでいる。それはこの「品川猿」だけに思うことなのである。
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2006.01.14 Sat風の歌を聴け [村上 春樹]

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僕は・君たちが・好きだ。

1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。

この本を何度となく読んだ。どうやら内容といったものは存在せず、ただ詩的なのか、夏の中に隠された何かを僕が探し出そうとしているのか、私にはいまだ理解できていない。もしかしたらそんなことは必要とせず、ただ単純に、ひと夏を語りたかっただけなのかもしれない。相変わらず、深く、狭く、壮大な世界が広がっている。ここがスタートかと思うと、今の村上春樹は少し物足りなくも思える。この作品は私の中で印象深く残り、そしてただそれだけのことで、何を書けばいいのか分からなくなる。本当に好むというのは、こんな感じなのだろう。
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2005.12.23 Friアフターダーク [村上 春樹]

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どこまで逃げてもね、わたしたちはあんたを捕まえる。

真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。マリはカウンターに置いてあった店の紙マッチを手に取り、ジャンパーのポケットに入れる。そしてスツールから降りる。溝をトレースするレコード針。気怠く、官能的なエリントンの音楽。真夜中の音楽だ。

中立的な視点がこの物語を支配している。とても風変わりな書き方で、読み出すとすぐに「その中」へ惹きこまれてしまう。そして中立的視点がある事により、素晴らしくリアルな情景描写が可能となり、読者の頭の中へスムーズに入っていく。村上春樹にしか書けないだろうと、深く感心されられる。村上春樹調を捨てたとしても、村上春樹は村上春樹でしかない。この作品の評価は賛否両論に分かれる事となるだろう。私の評価は明らかに「賛」だ。
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2005.12.13 Tueねじまき鳥クロニクル [村上 春樹]

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ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき。

僕の家から、まず猫が消えた。そして妻のクミコも姿を消した。一人きりになった僕の家に奇妙な電話がかかるたび、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜をはじめる。最愛の妻を取り戻すため、'84年の世田谷の路地裏から'38年の満州蒙古国境まで、駅前のクリーニング屋から意識の中にある井戸の底まで、暴力とエロスの予感に包まれた、地図のない冒険の旅が始まる。世界は闇にのみ込まれてゆく。

第一部~泥棒かささぎ編。
第二部~予言する鳥編。
第三部~鳥刺し男編。

自分探しがテーマの作品。ある些細な事がきっかけで、自分が崩れていくような感じに襲われ、不安になり、本当の自分と他人との関係を探していく。そんな小説だからこそ、もやもやとした気持ちが長く続きます。結局のところ、何に対して置き換えていきたいのか、何に対してここに残したいのか、それすらも解りにくい作品でした。いつもの如く文章回しはとても素敵でしたが、それが随所に散乱しすぎていて、作品自体が長かっただけに、陳腐に思えてしまう箇所も少なくはありませんでした。何が明かされて、何が明かされてないのか。加納姉妹は何処へ。「綿谷昇」というこの作品で最も重要な男のイメージが、最後まではっきりと沸きませんでした。鳥刺しでは全てが曖昧なまま終わり、とても残念な気持ちが残ります。
posted by:16:59 trackback:10 comment:0 

2005.12.09 Fri神の子どもたちはみな踊る  [村上 春樹]

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しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった。

1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた。

印象深かったのは「かえるくん、東京を救う」です。この短編集はどの物語も神戸地震と何らかのつながりを持つ作品となっています。そしてこの「かえるくん、東京を救う」も、神戸地震の翌月に東京で起こるはずの大地震をかえるくんが阻止するという話です。私は何も考えずに素直に楽しみながら読んでしまいました。村上春樹が描く人間以外の意思を持つ生き物達は、何とも言い難い愛嬌があります。でもその裏に常に何かが隠れているようにも感じます。かえるくんはみみずくんとの戦いが終わり戻っていく時に、「ぼくは純粋なかえるくんですが、それと同時にぼくは非かえるくんの世界を表象するものでもあるんです」 と言っていますが、かえるくんは自らの中にある非自分(かえる)的な何かを表しているのでしょうか。私には難しすぎて解りませんでした。

「蜂蜜パイ」も気になります。物語の中でもうひとつの物語があり、その物語はいつのまにか重要な意味をもつようになる。物語はハッピーエンドになる。ハッピーエンドでなくてはならない。それは主人公の心の移り変わりが、その物語りの中にあるからだった。
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2005.12.08 Thuノルウェイの森 [村上 春樹]

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死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱していた。彼らの求めていたものの多くは、既に失われてしまっていた。もうそこから進むこともできず、戻ることもできない、暗い森の奥に永遠に。

夢中で読みました。一心不乱に読みました。とても面白かったし、切ない。とても切ない。こんな恋愛は無理だと考えてしまった。苦しすぎるし、孤独すぎる。村上春樹氏の描写は素晴らしいものがある。それは目をつぶって読みたいほど。もちろん私は読みながら、行ったことも見たこともない場所の想像しているのですが、私の頭の中では「僕」が見ている全てが映し出されていたし、その場所で横切った風や、景色の美しさだとか、闇の暗さだとか、月の明るさだとか、髪から香る匂いだとか、僕と直子がただ歩く町並みだとか、いろいろな感覚を味わうことができました。

「君が大好きだよ、ミドリ」
「どれくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ」
「春の熊?」と緑がまた顔を上げた。「それ何よ、春の熊って?」
「春の野原を君が一人で歩いているとね、向うからビロードみたいな毛なみの目のくりっとした可愛い子熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱き合ってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらい君のことが好きだ」
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2005.12.07 Wedレキシントンの幽霊  [村上 春樹]

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さめない夢なのか、さめてからが夢なのか。

古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか。椎の木の根元から突然現われた緑色の獣のかわいそうな運命。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極などへ行こうとしたのか。次々に繰り広げられる不思議な世界。

いつもながら孤独で、素晴らしい作品ばかりでした。「トニー滝谷」は勿論の事、「沈黙」はとても深い作品だったと思います。唸りました。長い長編を読んだような、そんな思いを受けました。村上春樹氏にしては珍しく「現実」を描いた作品です。もしかしたらある種の境目を隔て、「幻」と「現実」のわずかな隙間を、私たちに見せたかったのかもしれません。何もかもを失うという事とは。

「僕が怖いのは青木のような人間ではありません。僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の話を無批判に受け入れて、そのまま信じこんでしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解してないくせに、口当たりのよい受け入れやすい他人の意見におどらされて集団行動する連中です。(中略)沈黙が冷たい水みたいになにもかもにどんどんしみこんでいくんです。そして沈黙の中でなにもかもがどろどろに溶けていくんです。そしてそんな中で僕が溶けていきながらどれだけ叫んでも、誰も聞いてはくれないんです」沈黙より。
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2005.11.20 Sun不思議な図書館 [村上 春樹]

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オスマントルコ帝国の税金のあつめ方について知りたいんです。

すごく面白かった。まず羊男、表紙のイラストを見れば一目瞭然ですが、実際に登場したときは、私の中でアイドル状態でした。いつも羊男。たまに羊男。イラストがかわいいと思ったら、この佐々木マキさんは、随分と春樹作の表紙を手がけている様子で、検索してみたら沢山出てきました。「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「カンガルー日和」「羊男のクリスマス」「パン屋再襲撃」「ダンス・ダンス・ダンス」「TVピープル」そしてこの「ふしぎな図書館」です。私の中での羊男は怖いイメージだったのですが、こうして見るとかわいいですね。もしかしたら物語によっては顔を変えているのかもしれません。こんなふうに考えるのも楽しいものです。
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2005.11.19 Sat海辺のカフカ  [村上 春樹]

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世界の万物はメタファーだ。

15歳の誕生日、少年は夜行バスに乗り、家を出た。一方、猫探しの老人・ナカタさんも、なにかに引き寄せられるように西へと向かう。暴力と喪失の影の谷を抜け、世界と世界が結びあわされるはずの場所を求めて。

相変わらず雰囲気はいい。それだけでも読めてしまうところもいい。また読み終わった後の余韻も村上春樹特有の心地よさだった。しかし同時に村上春樹的思考世界についていけないと思ったのも正直な感想です。なんていうか置き去りにされた気分にもなりました。メタファーだのソリッドだのなかなかどうしてな言葉が多数でてきて、挙句には「世界の万物はメタファーだ」と締めるほどに遠ざかっていきます。と、しかしこんな事言い出したら村上春樹は読めません。笑。物語自体はかなり面白く読めたし、二手に分かれての進行も楽しめました。登場人物の色も濃く印象的で、私としてはほしの君が好きです。この物語で唯一現実を生きている人ですが、微妙な位置に留まりながらもすべてを受け入れているほしの君は素敵でした。

イメージとしてカフカが入った森。というか→森のサイト です。世界中の森が見られます。素敵ですよ。この海辺のカフカを読んだ後に是非除いてみてください。イメージが膨らみます。
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2005.11.18 Fri国境の南 太陽の西 [村上 春樹]

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そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの。

1951年1月4日に生まれた「始」という男の子は、その時代には珍しい1人っ子だった。始はその1人っ子という事実にコンプレックスを抱いていたが、始が通う小学校には、もうたった一人だけ、小児麻痺で足の不自由な1人っ子の女の子「島本さん」が存在していた。その小学校では、互いに互いがたった1人の1人っ子という存在であり、それがきっかけで2人は親しい友人になった。しかし2人は別々の中学校に入学してしまう。それでも最初のうちは始が、駅2つぶん離れた島本さんの家に会いに行ったりしていたが、だんだんと始の方が、島本さんの思春期の変化を意識しだし、自分自身のコントロールをすることが難しくなった。そして2人は会わなくなった。互いが大人になるまで、ずっと。

「この世界は、雨が降れば花が咲くし、雨が降らなければそれが枯れるんだ。虫はトカゲに食べられるし、トカゲは鳥に食べられる。でも、いずれみんな死んでいく。死んでカラカラになっちゃうんだ。ひとつの世代が死ぬと、次の世代がそれにとって変わる。それが決まりなんだよ。みんないろんな生き方をする。いろんな死に方をする。でもそれはたいしたことじゃないんだ。後には砂漠だけ残るんだ。本当に生きているのは砂漠だけなんだ」

「そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの」
「死ぬって、どんなものが?」
彼女は首を振った。
「わからないわ。何かよ。東の地平線から上がって、中空を通り過ぎて、西の地平線に沈んでいく太陽を毎日毎日繰り返して見ているうちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。そしてあなたは地面に鋤を放り出し、そのまま何も考えずにずっと西に向けて歩いていくの。太陽の西に向けて。そして憑かれたように何日も何日も飲まず食わずで歩き続けて、そのまま地面に倒れて死んでしまうの。それがヒステリア・シベリアナ」
僕は大地につっぷして死んでいくシベリアの農夫の姿を思い浮かべた。
「太陽の西には一体何があるの?」
posted by:17:04 trackback:0 comment:0 

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