カ ミ ノ コ ド モ タ チ ハ ミ ナ オ ド ル 

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2005.12.23 Friアフターダーク [村上 春樹]

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どこまで逃げてもね、わたしたちはあんたを捕まえる。

真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。マリはカウンターに置いてあった店の紙マッチを手に取り、ジャンパーのポケットに入れる。そしてスツールから降りる。溝をトレースするレコード針。気怠く、官能的なエリントンの音楽。真夜中の音楽だ。

中立的な視点がこの物語を支配している。とても風変わりな書き方で、読み出すとすぐに「その中」へ惹きこまれてしまう。そして中立的視点がある事により、素晴らしくリアルな情景描写が可能となり、読者の頭の中へスムーズに入っていく。村上春樹にしか書けないだろうと、深く感心されられる。村上春樹調を捨てたとしても、村上春樹は村上春樹でしかない。この作品の評価は賛否両論に分かれる事となるだろう。私の評価は明らかに「賛」だ。
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2005.12.22 Thuスウィングガールズ [movie]

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ジャズすっべ?

夏休み返上で補習を受けている女子生徒たちが、サボりの口実としてビックバンドを始める。当然のごとくやる気はゼロでサボる気満々。しかし、楽器からすこしずつ音がでてくるにつれジャズの魅力にひきこまれ、ついには自分達だけでバンド結成を決意!とはいえ楽器はないし、お金もない。バイトをすれば大失敗。なんとか楽器を手に入れて、いざ練習!と思いきや、今度は練習場所もなく、ついにはバンド解散の危機か。→スウィングガールズ

上野樹里、平岡祐太、この2人がなんとも微笑ましい。全体的な印象とすれば、可もなく不可もなくといった感じを受けるが、実際に「スィングガールズ」たちが猛特訓を受け、あれだけの演奏技術を身につけた事が非常に素晴らしく、見ている者を感動させる。最後の演奏はとても熱い。

スィングガールズを彩るjazz→......more
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2005.12.18 Sunドラゴンヘッド [movie]


絶望、という未来。

修学旅行帰りの高校生テルらを乗せた新幹線が、突如の事故でトンネルに閉じ込められる。奇跡的に生き延びたテルは、密室内で狂気の行動に走るノブオの魔手から逃れ、同じく生き延びたアコとともに地上へ脱出する。しかしそこで彼らが見たものは。→ドラゴンヘッド

原作は漫画本である。その原作があまりに壮大すぎるという理由で、今まで映画化は不可能とされてきた。納得。確かに無理があったのではないだろうか。この作品を通じていったい何が伝えたかったのか。非常に理解し難い。ノブオの言う赤い光は何だったのか?天変地異で空から落ちてきていたものは?磁場が狂った?何が原因で?とまあ問いたい事は山ほどあるが、極めつけは最後に登場する「気持ちを無くす非常食」。ここまで散々伸ばして最後はそれ。私の引いた気持ちは復活することが無いまま映画は終了。この「ドラゴンヘッド」のテーマは「天変地異」であるらしい。極限状況に陥った時、人はどのように気持ちが動き、どのような行動をとってしまうのかをリアルに再現し、見ている人が疑似体験ができるように作った。と述べられているが、リアル?疑似体験?リアルに作ろうとしているのは、大量の石灰と、壮大すぎる景色だけだったように思う。しかしそれですら平坦なイメージは拭いきれない。SAYAKAの甲高い悲鳴だけが耳に残る。
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2005.12.15 Thuアビエイター [movie]

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すべての夢をつかんだ時、いったい何が見えるのだろう。

18歳で亡き父の石油掘削機の事業を引き継ぎ大富豪となったハワード・ヒューズ。1927年、21歳の彼は、その莫大な財産を全て注ぎ込み、航空アクション映画「地獄の天使」の製作に着手。30年に同作を完成させると大ヒットを記録し、ハワードは一躍ハリウッド・セレブの仲間入りを果たす。やがて、人気女優キャサリン・ヘプバーンと出会い、2人は恋に落ちる。彼はその後も次々とヒット作を生み出す一方、航空会社TWAを買収し、自らの操縦で世界最速記録を次々と更新するなど、大空への夢も実現させていくが。→アビエイター

この映画は日本人に馴染み少ない「ハワード・ヒューズ」という実在する人物の波乱に満ちた半生を描いた伝記ドラマ。アカデミー賞を最も多く受賞した作品にもかかわらず「駄作」といった評価が多く見られる作品でもある。その理由として「共感出来ない」といった意見が上げられているが、そりゃ出来ないだろうと。18歳で油掘削機の事業を引き継ぎ大富豪になり、その後は映画製作、ハリウッド女優達にプレイボーイと名が知られ、自らも設計に携わった飛行機に乗り世界最速記録を更新。我々一般庶民が共感できるわけがない。主演兼製作総指揮のレオナルド・ディカプリオに批判的意見も多いが、私としては(個人的に好きなひいき目もあるけど)ディカプリオは素晴らしくよかったと思う。タイタニックが絶頂期というより、タイタニック以降の作品でどんどん彼の良さが際立ってきている気がする。ヒューズのエキセントリックな性質を出そうと、ぼろぼろになりながらの熱演は十分に魅せたし、あの少年のような声を変に意識することもなかった。むしろそこにギャップを感じ、大人から子供の顔をちらちらと覗かせ何とも言えぬ魅力を感じさせる。神経質に手を洗いすぎて手を切り、服のシミをみつけ腰をかがめてトイレの洗面台で洗うシーン。あそこなどは悲しくて涙が出そうになった。ヒューズのたった1つの弱さを上手く演じたディカプリオの、役者としての力量が久方ぶりに証明された嬉しい作品。監督の手腕、役者陣の演技、美術セットや衣裳デザイン、飛行機のCGなど、本作の完成度はとにかく高い。ケイト・ブランシェットの存在感も忘れてはいけない。ただ1つ言うなれば、2時間40分は確かに長い。笑。
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2005.12.14 Wed半落ち [movie]

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命を奪っておいて、愛してるもないでしょ。

元捜査一課の警部で現在は警察学校の教職に就く梶聡一郎が、妻を殺害したとして自首してきた。聴取を担当するのは捜査一課のエース・志木刑事。梶の自供によれば、アルツハイマー病に苦しむ妻・啓子の「殺して欲しい」という嘆願に、止むに止まれず首を絞めたという。だが謎が残った。梶が出頭したのは事件の3日後だったのだ。空白の2日間に何があったのか。梶の人柄を信じる志木は粘り強く尋ねるが、梶は頑なに黙秘を続ける。やがてマスコミが騒ぎ始めると、事態の収拾に焦る県警幹部は、供述の偽装を画策する。→半落ち

「空白の2日間」をそこまで頑なに守り通す理由。その理由の強みがもう少しだけほしかった。妻を殺害してしまった動機についても、多少説得力に欠けていたように思います。物語に入り込むまでの戸惑いもありました。それもやはり、「空白の2日間」での関係者たちの執拗までの拘り。それについてまず疑問から入り込んでしまったからでしょう。「死に場所を求めてさまよっていたのですね」「はい」で何の不都合もない気もしますし。私としては、真犯人が実は別にいて、その犯人をどうしても守らなくてはいけなかった理由があるとか、そんなミステリー色の強い謎解きがもう1つ2つ欲しかった気もします。原作は読んでいませんが、映画色が漂っているので、たぶん読みません。ただ役者はよかった。中でも樹木希林はさすが。あの演技力は感心させられます。素晴らしかった。寺尾聰、西田敏行、國村隼、この方たちも当たり前のようによかった。さすが器用人です。ただあの神聖な場で、超甲高い声を発しまくった吉岡秀隆はどうだろう。笑。
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2005.12.14 Wed人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ [book]

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19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかむいとしさが、オレを駆り立てた。

この小説は恋愛小説です。受けた印象はとても文章がシンプルだということ。特にこれといった山場も無く、淡々と読み進める事ができた。読みやすい読みにくいで言ったら読みやすいけれど、一度読んだらもう読まなくてもいいと思わせる作品でもある。何が残るかといえば何も残らないし、後にも響かない感覚を受けた。文体とともにさっぱりとした物語。

これが恋なのかも、もはやわからなかった。
ただ身近にいる人に優しさを注ぎたいだけなのかもしれない。
ユリとずっと一緒にいるのだ、と思うそばから、
オレの運命の女は他にいる。それまでの繋ぎだとも、思う。
べつに愛というのではなく、ただの執着だとも、思う。
燃えている火はいつかは消えるものだ。
それゆえに、燃やさずに燃やさずに静かに仲良くいられないものか、と願う。
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2005.12.13 Tueねじまき鳥クロニクル [村上 春樹]

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ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき。

僕の家から、まず猫が消えた。そして妻のクミコも姿を消した。一人きりになった僕の家に奇妙な電話がかかるたび、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜をはじめる。最愛の妻を取り戻すため、'84年の世田谷の路地裏から'38年の満州蒙古国境まで、駅前のクリーニング屋から意識の中にある井戸の底まで、暴力とエロスの予感に包まれた、地図のない冒険の旅が始まる。世界は闇にのみ込まれてゆく。

第一部~泥棒かささぎ編。
第二部~予言する鳥編。
第三部~鳥刺し男編。

自分探しがテーマの作品。ある些細な事がきっかけで、自分が崩れていくような感じに襲われ、不安になり、本当の自分と他人との関係を探していく。そんな小説だからこそ、もやもやとした気持ちが長く続きます。結局のところ、何に対して置き換えていきたいのか、何に対してここに残したいのか、それすらも解りにくい作品でした。いつもの如く文章回しはとても素敵でしたが、それが随所に散乱しすぎていて、作品自体が長かっただけに、陳腐に思えてしまう箇所も少なくはありませんでした。何が明かされて、何が明かされてないのか。加納姉妹は何処へ。「綿谷昇」というこの作品で最も重要な男のイメージが、最後まではっきりと沸きませんでした。鳥刺しでは全てが曖昧なまま終わり、とても残念な気持ちが残ります。
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2005.12.12 Mon草木塔 種田山頭火 [book]

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若うして死をいそぎたまへる母上の霊前に本書を供へまつる。

疲れました。でも書きながら再度読むことができて、読むと、書くと、また違った受け取り方ができたような気がします。「鉢の子」とは托鉢の僧侶がその中にお米やお金を喜捨してもらう器で、ふつう「鉢」というらしいのですが「子」を付けて呼ぶのは親しみをこめているらしいです。私なりに山頭火という人物を考えてみました。相当な酒好きと見た。山頭火は24歳に自ら酒蔵を買収し酒造業を始めているし、それよりなによりも、泥酔して進行中の電車を止めてしまったらしい。しかもこれは旅に出る2年前の出来事。もしここでまかり間違って亡くなっていたとしたら、山頭火の草木塔はなかった。そう思うと少しはらはらさせられる。この草木塔に書かれている数々の言葉は言うまでもなく美しい。「分け入つても分け入つても青い山」ここまでの行もあるが、ここでの美しさは誰もが感じると思う。そこには青く美しい山々。素晴らしい。そしてその後、寂しさつのる。

「鴉啼いてわたしも一人」
「まっすぐな道でさみしい」
「どうしようもないわたしが歩いてゐる」

切ないが、私は羨ましい。山頭火は泣いたのだろうか。旅の途中、何度泣いたのだろうか。旅をしながら当然のごとく歳もとる。そこにもまた切なさを感じた。が、私は何故だか羨ましい。寂しさもあるだろうが、自分と向き合える。自分と会話が出来る。その永遠の時間がある。

鉢の子→......more
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2005.12.11 Sunes [movie]

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被験者求む。模範刑務所で2週間の心理実験。報酬は4000マルク。

30年ほど前、スタンフォード大学心理学部でひとつの実験が行われた。それは公募で集まった人間を看守役と囚人役に振り分け、模擬刑務所内においてそれぞれ与えられた役割に従って行動させ、肩書きや役割が人間の行動に与える影響を調べるというもの。しかし、看守役の被験者は次第に支配的、攻撃的に、囚人役の被験者たちは受動的、服従的になっていき、ついには囚人役の何人かが重度の情緒不安定に陥り、当初2週間の予定だったこの実験は6日で中止となってしまった。以後、こうした実験は倫理的に問題が大きいために全面的に禁止されている。本作はこの有名な心理実験を基に描いた問題作。スタンフォード大学心理学部ではある実験をするため、被験者となってくれる男性を公募した。集まった20名ほどの被験者は無作為に「看守役」と「囚人役」に分けられ、学内に設けられた模擬刑務所に収容された。初めはそれぞれの役を演じるだけの簡単なアルバイトと誰もが考えていた。しかし、実験が進むうち、「看守役」の攻撃的な振る舞いはどんどんエスカレートしていく。それに対して、「囚人役」は卑屈に服従するのみで、まったく抗議できなくなっていく。いつしか、模擬刑務所内は単なる実験の枠組みを越えて、もはや誰にも制御不能の状態に陥っていく。→es

人間は弱い。外界からの遮断環境と少しの地位。この映画のようにそれを与えられたとしたら、誰もが豹変してしまうものなのか。私も同じ状況に身を置いたとしたら、あのように自分をコントロールできなくなってしまうのか。多くを考えさせられた。30年前に行なわれた実際の実験では、幸いな事にシュッテような死者は出ていない。しかし重度の情緒不安定に陥るほど精神的に追い込まれてしまうこの恐ろしい実験は、今後行なわれる事は無いだろう。それがいい。
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2005.12.11 Sun笑の大学 [movie]

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1人は笑ったことがない男、1人は笑いに命をかける男。

時は昭和15年、戦争への道を歩み始めた日本。国民唯一の娯楽である演劇が規制され、台本も上演前に検閲を受けなければならなかった。そんな時代に、警視庁の取調室で2人の男が出会う。1人は笑ったことがない男、検閲官の向坂睦男。そしてもう1人は笑いに命をかける男、笑の大学、座付作家の椿一だった。 「笑」を排除するための検察官の要求を素直に聞き入れ、椿が手直しすればするほどに、悲しくも笑える台本にしてしまうのだが。→笑の大学

映画館では笑い声(爆笑)が絶えなかったと聞きます。もし私もこの映画を映画館で見たとしたら、また違った感想を持つことができたのかもしれません。でも私はDVDで見てしまいました。おまけに部屋を暗くして1人でひっそりと見てしまったのです。そのような見方をした私なりの感想を言います。最終的に「何で?」と疑問が残ってしまう映画でした。前半から中盤にかけては「笑い」が随所に散りばめられていて、こんな「笑い」のみに拘った映画があってもいいかもしれない。そう思いながら「くっくっく」と楽しみながら見ていたのですが、後半に入り事態が急変した時に、別にわざわざ「お涙頂戴」にしなくてもいいんじゃない?といった疑問が出てきてしまって、いつものように引いてしまいました。その「お涙頂戴」も、時間の取り方が短かすぎたのではと思います。「笑い」の時間が長かっただけに、いきなりの変化についていけなく、もうその辺りから見る気がすっかり失せてしまいました。しかしここで繰り広げられた2人の「笑い」。十分に楽しむ事ができたのも事実です。役所さんは文句のつけようがないほど笑わしてくれたし、三谷幸喜氏が拘った稲垣吾郎もとてもよかった。ただ最後だけ、私の中で残念な結果に終わってしまいました。
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2005.12.10 Satはなくそ アラン・メッツ [book]

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今日こそジュリーに告白しよう!

「今日こそジュリーに告白しよう!」一大決心をした子豚のジュールでしたが、ジュリーは明日引っ越すことに。そこへ意地悪なオオカミが現れて、2人ともさらってしまいました。「どちらから食べようかな?」ジュールはジュリーを助けるために、勇気を出して立ち向かいます。はたして彼女を助ける事が出来るのでしょうか?

この絵本の教訓を言うならば「見た目で人を判断してはいけません」かな?ちょっと私としては、納得できる教訓ではない。と言うのも主人公のジュールは、見た目にも綺麗な子豚とはいえず、それを自らが認めていた部分があり、お風呂にも入らず(入れない境遇とかではないらしい)清潔感はまったくない。だからジュリーはジュールを避けていた。そして2人は狼にさらわれる。ジュールは狼に食べられそうだった時、自らの鼻くそを食べて難を逃れている(おおかみは超潔癖症だったため、それを見て逃げだした)そんなジュールがジュリーに告白してうまくいくわけもないし、狼から助けても感謝されるかもしれないが、ジュリーが恋心を抱くのはまず無いと私は思う。しかしジュールは、最後の最後に狼の家でお風呂に入り、綺麗な子豚に変身し、ジュリーにキスをされている。この絵本の結末からすると、ジュールは汚いから助かっている。綺麗な子豚だったら食べられていたと言う事になる。おかしな話だと思う。きちんと自己管理できている者が不幸になり、だらしない者が助かり、おまけにその後は幸せだなんて、どうしても納得いかない。
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2005.12.09 Fri神の子どもたちはみな踊る  [村上 春樹]

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しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった。

1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた。

印象深かったのは「かえるくん、東京を救う」です。この短編集はどの物語も神戸地震と何らかのつながりを持つ作品となっています。そしてこの「かえるくん、東京を救う」も、神戸地震の翌月に東京で起こるはずの大地震をかえるくんが阻止するという話です。私は何も考えずに素直に楽しみながら読んでしまいました。村上春樹が描く人間以外の意思を持つ生き物達は、何とも言い難い愛嬌があります。でもその裏に常に何かが隠れているようにも感じます。かえるくんはみみずくんとの戦いが終わり戻っていく時に、「ぼくは純粋なかえるくんですが、それと同時にぼくは非かえるくんの世界を表象するものでもあるんです」 と言っていますが、かえるくんは自らの中にある非自分(かえる)的な何かを表しているのでしょうか。私には難しすぎて解りませんでした。

「蜂蜜パイ」も気になります。物語の中でもうひとつの物語があり、その物語はいつのまにか重要な意味をもつようになる。物語はハッピーエンドになる。ハッピーエンドでなくてはならない。それは主人公の心の移り変わりが、その物語りの中にあるからだった。
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2005.12.08 Thuノルウェイの森 [村上 春樹]

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死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱していた。彼らの求めていたものの多くは、既に失われてしまっていた。もうそこから進むこともできず、戻ることもできない、暗い森の奥に永遠に。

夢中で読みました。一心不乱に読みました。とても面白かったし、切ない。とても切ない。こんな恋愛は無理だと考えてしまった。苦しすぎるし、孤独すぎる。村上春樹氏の描写は素晴らしいものがある。それは目をつぶって読みたいほど。もちろん私は読みながら、行ったことも見たこともない場所の想像しているのですが、私の頭の中では「僕」が見ている全てが映し出されていたし、その場所で横切った風や、景色の美しさだとか、闇の暗さだとか、月の明るさだとか、髪から香る匂いだとか、僕と直子がただ歩く町並みだとか、いろいろな感覚を味わうことができました。

「君が大好きだよ、ミドリ」
「どれくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ」
「春の熊?」と緑がまた顔を上げた。「それ何よ、春の熊って?」
「春の野原を君が一人で歩いているとね、向うからビロードみたいな毛なみの目のくりっとした可愛い子熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱き合ってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらい君のことが好きだ」
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2005.12.07 Wedレキシントンの幽霊  [村上 春樹]

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さめない夢なのか、さめてからが夢なのか。

古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか。椎の木の根元から突然現われた緑色の獣のかわいそうな運命。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極などへ行こうとしたのか。次々に繰り広げられる不思議な世界。

いつもながら孤独で、素晴らしい作品ばかりでした。「トニー滝谷」は勿論の事、「沈黙」はとても深い作品だったと思います。唸りました。長い長編を読んだような、そんな思いを受けました。村上春樹氏にしては珍しく「現実」を描いた作品です。もしかしたらある種の境目を隔て、「幻」と「現実」のわずかな隙間を、私たちに見せたかったのかもしれません。何もかもを失うという事とは。

「僕が怖いのは青木のような人間ではありません。僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の話を無批判に受け入れて、そのまま信じこんでしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解してないくせに、口当たりのよい受け入れやすい他人の意見におどらされて集団行動する連中です。(中略)沈黙が冷たい水みたいになにもかもにどんどんしみこんでいくんです。そして沈黙の中でなにもかもがどろどろに溶けていくんです。そしてそんな中で僕が溶けていきながらどれだけ叫んでも、誰も聞いてはくれないんです」沈黙より。
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2005.12.06 Tueローレライ [movie]

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福井晴敏の傑作戦争スペクタクル巨編「終戦のローレライ」を映画化。

広島に落ちた原子爆弾が大戦の終局を告げようとしていた1954年。海軍軍令部の浅倉大佐は、さらなる原爆投下を阻止すべく、最後の作戦を実行に移す。切り札はドイツ軍から接収した戦利潜水艦「伊507」浅倉は長く現場を離れていた絹見少佐を伊507の艦長に抜擢し、原爆を積んだ戦闘機が離陸するテニアン島への奇襲攻撃を命じる。それは無謀な任務に思われたが、伊507には“ローレライ”と呼ばれる特殊な敵艦探知システムが搭載されていた。そんな矢先、今度は長崎に原爆が投下。そして第3の標的となったのは首都・東京だった。→ローレライ

役所広司、妻夫木聡、堤真一、柳葉敏郎、石黒賢、伊武雅刀、鶴見辰吾、橋爪功、國村隼、上川達也、という期待十分な豪華キャスト陣。しかし肝心の映画は私の期待を大きく裏切る結果に終わった。全体のまとまりの無さを感じ、要である前評判高し「伊507」と「水」のCGには毎回違和感を覚え、さらにラストはタイタニック。折角の豪華なキャスト陣も練り込みが足らない印象を受け、なんだ人数多かっただけかと。おまけに時代感がまったく感じられない衣装にヘアスタイル。ようは「何がしたかったの?」という映画だった。いやいやだからCG。CGが見せたかったのね。日本のアニメがいかに優れたメディアであるか。という事を知り尽くしているガンダムやヤマト好きの彼らが「だったら、この素晴らしい作劇法を実写に応用しない手はないじゃないか」という発想で作られた映画が「ローレライ」であるとしたら、この内容の無さは納得できる。機動戦士ガンダムね。宇宙戦艦ヤマトね。アニオタが原作書いて、アニオタが集まり製作したからこの結果。そう考えだしたら、なるほどと。とすると、妻夫木聡はアムロ・レイ。
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2005.12.04 Sunへんないきもの 早川いくを [book]

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どうしてこんなに変なのか。

世界にうごめく、珍妙で奇怪な生き物たち。そのあまりの珍妙ぶりに思わずほくそ笑む。軽妙な語り口の、おかしな生き物の本。マジメな図鑑とはひと味もふた味も違います。驚くことにすべて実在する生物です。みなみのしまのあくまだよ、アイアイ。危ない海の宝石、アミガサクラゲ。軟体の鬼畜、イシガキリュウグウウミウシ。深海で笑う者、オオグチボヤ。ぼくとつな名前の超生命体、クマムシ。血の風船、ヒメダニ。進化論の目の上のコブ、ヨツコブツノゼミ。エイリアンの干物、ワラスボ。読んでいくうちに、なぜかかわいく見えてくる。そんな「へんないきもの」たち。

足が85本もある「蛸」が三重県沖で捕れたそうです。85本の足全てをフル活用し、おでんを作って、食べてみたいと思いました。それともやはりたこ焼きでしょうか。悩むところです。あなたは不死身の「くまむし」を知っていますか。高熱にも絶対零度にも、真空にも乾燥にも、6000気圧もの高圧や放射線にさえ耐えることができ、尚且つ100年以上生き続けることができる、そんな「くまむし」です。変な生き物たちのグロテスクな絵と細かな説明により、私たちが容易く想像することができるように書かれています。大人が読んでも面白い本だと思います。いや素晴らしい。
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2005.12.03 Sat交渉人 真下正義 [movie]

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さあ交渉の準備はいいか?

物語は前作「踊る~2」の事件解決から1年後。東京地下鉄の最新鋭の1両(クモE4-600)が何者かに遠隔操作で乗っ取られてしまい迷走を始める。乗降客600万人の命が危険にさらされる中、犯人が交渉の窓口として指名してきたのが、ユースケ扮する警視庁初の交渉人(ネゴシエイター)の真下正義だった。その真下正義を中心に、警察や地下鉄指令員がその威信にかけ犯人を追い詰め解決していく。→交渉人 真下正義

残念な事に、この映画公開の前に福知山線の事故がありました。確かに映画の中でも連想させるシーンが何箇所かありましたし、やはりその影響で映画の感想も賛否両論のようです。確かにシーンの中で電車が暴走し、カーブの遠心力で振り回された乗客が叫びながら電車の片方に振り飛ばされ人が重なってしまう光景は、まさにその時の車内を連想させます。しかし私としては、この映画は間違いなく面白かったので複雑です。確かに遺族の方や事故に巻き込まれた大勢の方々はこの映画を見られないと思いますし、こういった内容の映画が公開される事ですら辛い事と思います。しかし映画は十分に「映画」として楽しめました。複雑です。すみません。

この「交渉人 真下正義」は脇役がいい。かなりいい。それは「踊る~」も同様なのですが、脇役の個性があれだけ強いのにもかかわらず、それでいて主役を引き立てる。1人1人が役に的中している。寺島進さん最高でした。笑。あ、國村隼さんごめんなさい。しかし警視庁刑事部交渉課の方々が使っていたPC、機能すごいんですけど。音声検索でもあそこまでできるのでしょうか。ちなみにユースケ自身はPCは使えるのでしょうかね。
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2005.12.03 Sat太陽と毒ぐも 角田光代 [book]

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風呂に入らないで平気な女がいるなんて考えたこともなかった。

働かない男と同棲する女、万引き癖のある女と同棲するヒモ同然の男、風呂に入らない女と付き合う会社員男性、うそつきな男と付き合う女、酒豪・酒乱の女。性癖、習慣によって引き起こされる亀裂と、それでも愛するべきか悩む主人公たちの短編集。

読んでいると、人事ではないと思ってしまうような、気づかされたような、何とも後味がよろしくない。実にリアルだと思う。その時の感情はまさに私ではないかと思ってしまうほどだった。この作品の後書きに「だれかを好きになって、相手もこちらを好いてくれて、とりあえず関係性としてはハッピーエンド。そのだらだら続くしあわせな恋人たちの日常を書いた」と角田光代氏は語っていますが、正直驚きました。ハッピーエンドで終わっていたのだろうか。どの作品も、未来がある終わり方をしているとは思えなかった。確かにその場の感情を上手く抑えられた形で終わってはいる。しかし相手の我慢があってこその形だったとも思う。それとも実は、今まで嫌だ嫌だと思っていた相手の性癖までも、いずれ愛すようになるという事を伝えたかったのだろうか。謎だ。
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2005.12.02 Fri電車男 [movie]

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めし どこか たのむ。

電車内で絡む酔っ払い爺から女性を助けた、ひとりのアキバ系ヲタ青年。彼女いない歴22年の彼は、助けたお礼を送ってくれた彼女をデートに誘うべく、モテない男達が集うネットの掲示板に助けを求める。そこで電車男と呼ばれるようになった彼は、住人たちの励ましや助言に後押しされて、ようやく彼女をデートに誘う。電車男は、果たして彼女に告白できるのだろうか。→電車男

何の説明もいりませんよね。電車男です。ドラマ化もされ、私はこれで両方見たことになりますが、映画のほうが断然面白かった。この物語ように映画がドラマ化されると、大体においてドラマのほうが面白く感じられる。ドラマは時間も長いし、ストーリーも着色され内容が深まる。しかしこれに限っては間違いなく映画です。ドラマの伊東美咲も素敵だなと思っていたのですが、中谷美紀のリアルで、自然で、美しい演技は素晴らしかった。2時間で十分に切なくさせてくれました。
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2005.12.02 Fri下妻物語 [movie]

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ロココ時代に生まれたかった。

四方八方田んぼだらけの茨城県下妻。そんな田舎で浮きまくりのバリバリロリータ少女・桃子は、大好きなお洋服欲しさに始めた個人販売で、これまた時代遅れなバリバリヤンキー少女・イチコと出会う。見た目も趣味も全く違うこの二人。わかり合えるはずはないのに、やがて不思議な友情が芽生え始める。→下妻物語

面白かった。その一言です。全体的に上手く仕上がっていたし、とにかくセンスがいい。テンポもよかった。桃子はまるで宝石箱をひっくり返したみたいな女の子で、作り上げる刺繍、ファッション、桃子の部屋、お弁当、その全てが可愛らしいく、見ているだけで幸せな気分にさせられます。キャストの皆さんもばっちりなはまり役で、主人公を演じた深田恭子、土屋アンナ、最高でした。ロリータなのに冷めた考え方をする桃子。その桃子が最後にぶちぎれるシーンはとても意外でびっくり。ヤンキーのイチゴは本当にキャラ濃くて、でもかわいくて、すごく魅力のある女の子でした。あとは父親役の宮迫博之、母親役の篠原涼子。もうこれはギャグです。祖母役で樹木希林。レディースの総長役で小池栄子。その手下でまちゃまちゃも出演していましたね。ほんのちょい役でしたが、あの髪型ですぐに発見できたのが笑えます。
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2005.12.01 Thu極道の妻たち [movie]

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あんたら覚悟しいや。

野木安積は愛知県を拠点とする千之崎組の組長、野木万之助の妻として一家を支えてきたが、大阪で絶大な勢力を誇る淡野組の罠にはまった夫に代わって殺人を犯したため、3年間の刑に服することになった。出所後、野木がすっかり淡野組の言いなりになっていることに愛想をつかした安積は新しい道を求めて香港に旅し、そこで謎の男、花杜と出会う。2人は違いに激しく求め合うが、花杜は凄腕の殺し屋で、安積と別れた後、彼が依頼を受けて殺したのが何と万之助であった。→極道の妻たち 覚悟しいや

久しぶりに見ましたよ極妻。やはり岩下志麻は最高。なんといってもあの迫力ったらない。あれだけ鋭い眼光で睨まれたら、誰もが蛇に睨まれた蛙状態になる事間違いなし。ブラウン管通しで見ていても、本当にぞくっとします。岩下志麻はまじでしぶい。格好よすぎ。着物似合いすぎ。色っぽすぎ。かたせ梨乃もいい味だしてたな。梅宮辰夫のバリバリな名古屋弁はどうだろ。思いっきり「たーけ!」「おみゃー!」と怒鳴っていましたけど。笑。
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