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2005.11.18 Fri国境の南 太陽の西 [村上 春樹]

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そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの。

1951年1月4日に生まれた「始」という男の子は、その時代には珍しい1人っ子だった。始はその1人っ子という事実にコンプレックスを抱いていたが、始が通う小学校には、もうたった一人だけ、小児麻痺で足の不自由な1人っ子の女の子「島本さん」が存在していた。その小学校では、互いに互いがたった1人の1人っ子という存在であり、それがきっかけで2人は親しい友人になった。しかし2人は別々の中学校に入学してしまう。それでも最初のうちは始が、駅2つぶん離れた島本さんの家に会いに行ったりしていたが、だんだんと始の方が、島本さんの思春期の変化を意識しだし、自分自身のコントロールをすることが難しくなった。そして2人は会わなくなった。互いが大人になるまで、ずっと。

「この世界は、雨が降れば花が咲くし、雨が降らなければそれが枯れるんだ。虫はトカゲに食べられるし、トカゲは鳥に食べられる。でも、いずれみんな死んでいく。死んでカラカラになっちゃうんだ。ひとつの世代が死ぬと、次の世代がそれにとって変わる。それが決まりなんだよ。みんないろんな生き方をする。いろんな死に方をする。でもそれはたいしたことじゃないんだ。後には砂漠だけ残るんだ。本当に生きているのは砂漠だけなんだ」

「そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの」
「死ぬって、どんなものが?」
彼女は首を振った。
「わからないわ。何かよ。東の地平線から上がって、中空を通り過ぎて、西の地平線に沈んでいく太陽を毎日毎日繰り返して見ているうちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。そしてあなたは地面に鋤を放り出し、そのまま何も考えずにずっと西に向けて歩いていくの。太陽の西に向けて。そして憑かれたように何日も何日も飲まず食わずで歩き続けて、そのまま地面に倒れて死んでしまうの。それがヒステリア・シベリアナ」
僕は大地につっぷして死んでいくシベリアの農夫の姿を思い浮かべた。
「太陽の西には一体何があるの?」
posted by:17:04 trackback:0 comment:0 
 

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